▼ゴーレム:未確認人工天体

西暦2016年から2017年に変わる瞬間に木星の衛星軌道上に突如出現した謎の天体。地球社会で定められた時間定義を条件にしていることから、地球外知的生命体による人工天体であると断定される。国際天文学連合からは「ゴーレム」の正式名称がつけられた。恐怖を感じた人々は「ルシファー」と呼ぶようになり、日本でも「魔王星」とネガティブな呼び方をする者たちが増加している中で、「ミライ」とポジティブに呼んでいる少数の者もいる。ガリレオ四大衛星に加えて五大衛星などと表現されることもあり、天文マニアだけではない多くの人々にとって身近な存在として親しまれるようになった。

その直径は、太陽系の全衛星中で最大(惑星の水星はガニメデより小さい)であるガニメデよりも大きく、直径が1万3000kmを超えていることがわかった(正確には1万3216.3km)。赤道方向でも極方向でも直径はまった同じ値で、完全な球体であることも判明。スペクトル分析などから、表面が完全に金属で覆われていること、また赤外線による観測では一切の熱の放射がなく、完全黒体であることがわかっている。また、その周回軌道は完全にケプラーの法則を無視しており、地球と木星の位置関係がどのような場合であっても、必ず地球と木星の間に位置するように遷移する(通常の衛星のように木星を周回していない)。これらの証拠から、人工天体であると多くの研究者が断言した。

人類にとって公式では初めての地球外知的生命体、それも超高度な技術力を持った存在が実在する証拠となった。なお、これだけの巨大な天体が突如出現したにもかかわらず、ほかの木星の衛星が一切重力的な影響を受けていない一方で、無人木星探査機の軌道は影響を受けていることから、大規模かつ意図的な重力制御が行われていると推測されている。

ゴーレムの出現は、小説『宇宙の寵児』で予言されており、『宇宙の寵児』に書かれている内容の信憑性が高まることになった。